なんにもない、けど、なんでもある/関野菜子

旅行に行くなら、観光スポットやグルメは絶対にチェックするもの。
田んぼが広がる田舎の雰囲気もなんとなくいいのは分かるけど、やっぱり退屈そう。
前まではそんなことを考えていました。

でも、なんにもない田舎には、行かないと気付かない魅力がたくさん詰まっている。

わたしが出会った“なんにもない”

わたしがその魅力に気が付いたのは、大学三年生の夏。

学生団体のプロジェクトに参加して、石川県能登町に10日間ほど滞在しました。
その学生団体の活動では、東京の学生がある地方に行き、短期間(34日)でその土地の人に取材をしてドキュメンタリー映像を作成するというもの。

能登町では、地元の高校生と一緒に取材や映像作成を行いました。
わたしは、滞在期間に取材対象となっていただく方に交渉をしたり、役場の方と連絡を取り合って、地元の方々とプロジェクトを進めていく、渉外係。

だから、他の人よりも深く地元の人と関わる機会がありました。


↑能登町視察

自分にはふるさともないので、田舎での暮らしは初めて。
最初は「これが田舎かぁー」くらいの感想だった。

でもね、能登町で暮らしていくうちに
能登町が大好きな人、能登町だからこの仕事を頑張ってるんだって熱く語る人、能登町の良さを広めたいって奮闘する人、キラッキラ輝いてる人にたっくさん出会いました。

地域活性とか、地方創生とか、難しいことはよく分からない。
でも、自分の住む町に誇りを持って暮らしている、そんな人たち。

この出会いで、わたしは能登町のことが大好きになりました。
能登町のことが大好きなみんなのことが大好きになったわけです。

「能登町良いところ!」単純にそう思って、
能登町は、小さな町で観光客が押し寄せるような場所でもない、これといった観光スポットがどーんってあるわけでもない、交通の便もいいわけじゃない。
でも、たしかに町は生きていて、そこの人たちはイキイキしてる!それだけは、胸を張って言えたし、わたしが見てきた町の中でどこにも負けていなかった。

「こんな小さな町に魅力が溢れているんだったら、日本の魅力は無限大だじゃない?日本すごい!!」
って思いました(笑)本当に単純。
でも、わたしにとっては、なにかを発明したくらいに衝撃的なひらめきでした。

まだ、わたしたちが気づいていない日本の魅力があるはず。
なんにも無いからこそ、気づくワクワクがある。
なんにもない、けど、なんでもある!魅力はいくらでもある!

わたしも“なんにもない”

地方に限ったことじゃないなって、書きながら思いました。
実は今、「ふるさとワーキングホリデー」という制度を使って、また能登に来ています。
能登町よりも少し下、能登島もある七尾市というところです。
七尾市自体は観光スポットもあって割とにぎやか。
でも、わたしが暮らしている集落には本当に、本当に、田んぼしかないです。(笑)


↑七尾の田んぼ

こっちに来てから何度も思ったことがあります。
「わたし、なんにもないなあ。」

車の運転もできない、料理もたいしてできない、積極的でもない、若い人のキャピッとした感じもない、絵も描けない、歌えない、自信もない、なんにもない。

本当に、なんにもない。

でも、今、書きながら
「なんにもない地方と、一緒かも」って思い始めました。
なんにもない、けど、なんでもある。

できることは少ないけど、わたしはこうやって文章を書くことが好きだし、発信する場所もある。写真を撮ることが好きで、ファインダーの中で自分の世界を満喫する方法を知っている。
今来ている七尾市でも、素敵な出会いに恵まれている。能登町の方が「能登に来ているなら、会いましょう!」って声をかけてくれる。
好奇心の向くままに行動することができる。学んだこと、新しい発見を自分の中でじっくり咀嚼して、自分のものにすることができる。
それを発信として、自分以外の人に分けてあげることもできる。

ほら、いっぱい持ってた!わたしにもできることがあるし、きっとわたしにしかできないことがある。

 

みんな“なんでもある”

持っているものは、人それぞれ。気づくか、気づかないか。ただそれだけ。
日本で見つけた地方に隠れていた魅力も同じ。その地方にしかない魅力を感じ取ることができた人が、その地でイキイキと生きることができるんだから。

ないものにばかり目を向けないで、今持っているものに誇りを持とう。
それが、なかなか気づかないワクワクを見つける方法なのかもしれないね。

明日も自分らしく!ワクワクを見つけるために生きます!

それでは、みんなの毎日がワクワクで溢れますように!

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